【書評&講演】Think Simpleーアップルを生みだす熱狂的哲学

アップルの熱狂的哲学である「Simple」について語った本。
『Think Simple』
著者:ケン・シーガル
広告のクリエイティブ・ディレクターとして数々の賞を総なめにし、スティーブ・ジョブズとはNeXT時代から計12年間ともに働いてきた。1997年には倒産の危機にあったアップルに復帰したジョブズに再び起用され、伝説のマーケティングキャンペーン Think Different の制作に参画。また「iMac」を命名したことでその後のアップルの「i」シリーズを生みだすなど、アップル復活において重要な役割を果たしている。
アップル栄光の時代に、グローバルな広告展開を統括しながら、アップルの「トップ100」会議にも出席するなど、ジョブズの至近 距離からそのクリエイティブなビジネススタイルを身をもって経験してきた。また、いくつかの広告代理店のグローバル・クリエイティブ・ディレクターとして、デルやIBM、インテル、BMWなどとも仕事をしたことで、各企業の違いを客観的かつ具体的に比較できる貴重なキャリアを持つ。
Think differntキャンペーンMovie 日本語Ver(これは何度見ても痺れます。)
この本の素晴らしい点は、
これまでのApple、スティーブジョブス本とは少し違い、
実際にスティーブジョブスと長い間仕事をし、 具体的な仕事の例を挙げながら、スティーブジョブスという人物を描き上げている点だ。
それによって、スティーブジョブスという人物をさらに浮き彫りにし、この著書のテーマである「Simple」とは何かということを伝えようとしている。
そして、DELL、IBM、インテル、BMWでも広告ディレクターとして働いていた経験が、その「Simple」という事実をより客観的なものとしてくれている。
アップルは、異常なまでにシンプルであることにこだわり、
シンプルで無いものは、邪悪だと言い放つほどに、シンプルであることを崇拝している。
では、何故そこまでシンプルにこだわるのか?
要約するなら、「何か伝えたい価値があるとき、シンプルでなければ伝わらず、熱狂を生まない」からだろう。
これは、多分言葉で伝えるだけでは「?」という感じだろうが、アップルはシンプルであり続けたが故に、ここまで熱狂的なユーザーを生んだ。(僕もその1人)
これが理解できないのは、もしかしたらアップルのみが「シンプル」の本当の素晴らしさを知っているからであり、アップル以外には知り得ないからかもしれない。
「シンプルっていいよね!」ってくらいの気持ちでしか、多分理解してないんじゃないだろうか。
この本を読むと、シンプルってそんな生温いことじゃないってことがわかるかもしれない。
シンプルはもはや、「狂気」であり、「宗教」である。
しかし、最高の「武器」であることは間違いない。
ここで
スティーブジョブスが、世界開発者会議で言い放った有名な名言を引用。
”焦点を合わせるということは、その対象に対して「イエス」という意味だと人々は考える。
だがそれだけではない。そこにある他の100の良いアイデアに「ノー」と言う事も意味する。
私は、自分がしてきたことと同じくらい、してこなかったことに誇りを持っている。
イノベーションは、1000もの物事に「ノー」と言うことなのだ。”
月並みな言い方にはなるが、シンプルであり続けるためには、異常なまでの「信念」「勇気」が必要だと改めて感じた。
それと同時に、これくらい混沌な世の中では、「シンプル」であることの価値はどんどん高まり続ける。
だからこそ、自分自身、「シンプル」という杖を手に入れ、残りの人生でその魔法を使っていきたと思う。
この本では、会議は短くしろだの、カジュアルでいこうだの、チームはミニマムでいこうだの、
書かれているが、それよりも重要で大切な学びは、
シンプルであることの重要さ、シンプルを守る難しさ、シンプルであることの価値
それを身に染みて感じることができる点だろう。
凄い読みやすい本だと思います。
少し、話はずれますが、今日著書のケン・シーガルが同志社に出版イベントということで講演に来ていた。
講演前の様子。(目の前の人の頭がシンプルになっていることに、特に意味はないです。)
このイベントでは、ほとんど本に書かれていること話していただけなので、そんな面白くなかった(笑)
ずっと、「スティーブはね。。」「スティーブはね。。」「スティーブはね。」ってお前は、誰やねんって感じでした。
ただプレゼン資料は、凄い洗練されていて、また参考にさせてもらおうと思う。
「スティーブはね。。」「スティーブはね。。」「スティーブはね。」ってのは、この本でも変わりないので、
その点はご了承を。
本は、ハードカバーですが、凄いカッコいいです。
Coolだろ?(真似です。)
P.S
この本を見る際に、もう見てるかも知れませんが、TEDの「サイモンシネック:ゴールデンサークル」は絶対もう一度見といた方がいいです。なるほど。これねってなりますから。